知覚認知の研究のため,アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市にある Department of Cognitive and Neural Systems, Boston University に,1999年4月2日から2000年4月12日までの1年間,共同研究のため滞在していました.

これらの紀行(メール)はその時の様子を書き留めたものです.特に,アメリカへの道 - 留学準備のスケジュール&メモ - は便利な留学資料として好評です.

アメリカへの道 - 留学準備のスケジュール&メモ -






アメリカでは文句もやはり英語か...(4/8)
黄色いリボンとピアス (4/30)
ボストンの夜は野球か音楽会で (6/7)
独立記念日は楽しい (8/10)
運転免許証なんて簡単にとれるはず?! (9/18)
旅行中,たいへんなことに...(11/8)
えッ!! 懸賞の自動車が当たった?! (12/24)
小ネタ集です (2/12)





アメリカでは文句もやはり英語か...(4/8)[ TOP ]
いま,ボストンにいます.近況を報告します.やはり,東海岸は西海岸に比べて遠いですね.太平洋を9時間の長旅の後,海をようやく越えたかと思えば,さらにすぐ約6時間程度大陸を飛び,合計半日程度を飛行機の中で過ごしました.乗り換えはロサンゼルスだったのですが,着陸した飛行機がなかなかゲートに着かず国内便の乗り換え時間が少ないので(45分),乗り継ぎに遅れるのではないかとやきもきしました.
入国手続きの混雑や荷物のチェック,国内線ゲート通過時のコンピュータのチェック等で時間がどんどん取られ,チェックのお若い兄ちゃんに「もっと早くしてよ」と,日本語でつぶやき,「走れ,走れ !!」と,夫婦ともども,重い荷物を持ちながら,国内線への長い通路を久しぶりに本気になって走りました.そんな我々を笑って見ていたのか,途中,あるアメリカ人から「チョット,スミマセン!?」と冷やかしの日本語で呼び止められ,「こんちきしょう」と思いながらも,英語で言い返えせず,また,そんな時間的余裕もなく,いい運動にはなりましたが,もうぐったりでした.これがアメリカ滞在の1日目です.
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教訓その1 アメリカでは,文句もやはり英語か......
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入国時に,早速,英語力を試されます.通常,観光で入国するときには,`sightseeing' と `about one week ' の滞在期間等の簡単な英語だけを覚えていれば,いかつい入出国審査官のおじさんやおばさんに愛想で迎えられるのですが,長期滞在となるとそうはいきません.滞在期間はもちろんのこと,目的,研究内容,ビザの種類等を聞かれます.
ボストンに着いてからも感じましたが,アメリカ人にとっては,英語でやたらと喋りまくり,愛想よく冗談を言うことが気に入られる秘訣のようです.以前に滞在したオーストラリアとは月とすっぽん,豚と真珠です.同じ西洋系でありながら,人に対する態度が全然違います.オーストラリアでは,英国風土があるからでしょうか.困った態度を見せると,それなりに優しい英語で聞いてくれますが,こちらアメリカでは,容赦なくどんどん早口の英語で聞いてきます.「もっとゆっくり喋ってよ」と言うと,`All right' と言うわりには,最後の方は機関銃のように喋ってきます.もちろん,例外もあるでしょうが,アメリカ人は威勢がいいです.
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教訓その2 西洋人は誰もアメリカと思うことなかれ.
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ボストンは寒いです.緯度は函館と同じと聞いています.4月4日からサマータイムになりましたが,春はまだ遠いといった印象です.花粉症の私にとっては,日本で花粉症から解放されたと思ったとたん,こちらでまた花粉症をぶり返すといった災難に苦しんでいます.時差は13時間です.例えば,日本の夜9時はここでは,その日の朝の8時です.ですので,日本とは電子メールで,朝と夜の2回,リアルタイムの通信のチャンスがあります.
先日,留学先の Department of Cognitive and Neural Systems, Boston University (Prof. S. Grossberg and Prof. G. Carpenter) から,阪南大学のコンピュータに telnet で入りましたが,結構,速く反応してくれます.ビジネスタイムが日本とは全く逆なので,それがネットワークが速い原因なのかもしれません.留学先の CNS(Department of Cognitive and Neural Systems)では,認知心理学と神経生理学の観点から工学モデルを提案し,パターン認識やロボット,視覚(Computer Vision)への応用を活発に行っています.ファジィとの関連では,Prof. Gail Carpenter の fuzzy ART, fuzzy ARTMAP が有名で,認知モデルや生理学モデルに基づいて,パターン認識やクラスリング問題で有用な成果を得ています.ですが,詳細はまだ分かりません.詳細を知るためには,勉強することが多くあり,英語の能力に欠ける私にとっては,その分大変ですが楽しみでもあります.
CNS では,自分の研究室をもらいました.ビルの入り口に,`Prof. I.Hayashi Room 306' とボードに白色の文字版が組み込まれているのを見ると,この雰囲気もいいなあと,一人,満足しています.研究室は,他の Visiting Professor と相部屋ですが,彼は夏だけ,短期間に来るらしく,いまのところ個室状態です.学部の教員やスタッフはとてもフレンドリーで,研究の環境やコンピュータの環境,待遇等にはとても満足しています.
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教訓その3 やはり,留学先はそれなりのところを選ぶべし.
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研究環境に比べ,ボストンの住宅事情は最悪です.ボストンはニューヨークの次に家賃が高いところだそうで,アメリカ平均の3倍です.例えば,私の借りているアパートの1室は,1 Bed Room で,月 $1,500 もとります.広さは約 70平方メートルでしょうか.大阪市内の2LDKくらいのマンションの広さと変りがありません.この家賃の高さと広さとの関係に少々とまどっています.ですが,友人の計らいで,すでに日本で家を確保していたので,とりあえずは何も困ることなく,生活をエンジョイしています.
セキュリティも24時間のガードマンがいたりして,とても安全です.その分,いっぱい鍵をもらいました.部屋の鍵が2つ,メールボックスの鍵,アパートの入り口の鍵,駐車場の入り口の鍵,その他,まだ解読していない鍵が2つもあります.他に大学の研究室の鍵や車の鍵などもあって,キーホルダーはいつもガチャガチャと音を立てています.アパートには,プールやスポーツジム,テニスコートもあり,ちょっとしたホテル並の気分です.この会員登録でも手間取りました.セキュリティの面から場所が複雑な上に,多くのドアが一方方向からはロックされており,行き方を聞こうにも,会う人会う人のボストニアン(ボストンに住むアメリカ人をそういうらしいです)は早口の英語をボストンなまりを喋り,要領を得ず,手こずりました.ちなみに,ボストニアンは,英語の r を発音しないそうです.例えば,New York は,ニューヨークではなく,ニューヨクとなります.また,I say を I says などと発音します.そのため,全然,わかりません.(それでなくともわかりませんが.....)結局,アジア系のスタッフに行き方を教えてもらいました.
その他,在留届の提出や車の登録,銀行口座の開設,電話の開通などでも,慣れないこともあり,結構たいへんでした.特に,車の登録では,日本で約束していた車両保険料より $700 も高くぶったくられそうになり,セールスマンと喧嘩をして,いま,どのように処理をしようかと悩んでいる最中です.(ちなみに,このセールスマンは日本語が話せました)
ボストンは思いの外,日本人が多く,私のアパートはハーバードメディカルエリアが近いせいか,多くの日本人の留学の医者が住んでいます.病気になっても困らないことはありがたいですね.早速,知り合いの医者ができました.彼らに言わせると,「日本人は一人でも多くアメリカ人と友だちになろうと思って,英語教室やカルチャースクールに入るけど,多くの日本人が同じ考えだから,結局,スクールは日本人ばっかし」と言って笑っていました.そうかもしれません.先ほどの車の保険も,家具の引っ越しでお世話になったヤマト運輸ボストンの日本人スタッフに頼んで,車両保険料の情報を得られそうです.
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教訓その4 たかが日本人,されど日本人
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まあ,このように,忙しいですが,楽しい日々をおくっています.





黄色いリボンとピアス (4/30)[ TOP ]
アメリカはやはり恐いですね.デンバーの銃乱射事件のことですが,こちらでは,まだ,特別番組を組んで解説をしています.今後の教育や宗教,家庭での取り組みについてもどのようにするのが良いのかを議論しているようです.クリントン大統領も学内暴力に対して真剣に取り組むようです.私は一応は番組を見ていますが,もうひとつ良くわかりません.やはり英語の壁は厚いですね.何となく会話がわかる程度でしょうか.
ボストンはいまのところ安全です.でも,夜遅くは出歩かないようにしていますし,財布やお金の取り扱いには回りに注意を払っています.アパートもセキュリティがしっかりしていますが,それは,そのたぐいの事件が多いことを表しているだけで,本当に大丈夫かどうかはわかりません.数年前には,私のところのアパートの駐車場でレイプ事件があったそうです.犯人は住居者以外の人間でしたが,深夜にアパートに帰ってきたときの犯行だったそうです.そのような深夜に帰ってくる被害者も悪いのですが,それ以来,セキュリティには特に気をつけていると彼らは言っていました.それと,ボストンの交通マナーは最悪です.交通量が多く,いつも,どこかでクラクションを鳴らす音が聞こえてきます.車線変更はお構い無し,歩行者も信号無視の横断,日常茶飯事です.大阪にそっくりです.かえって親しみがわきます.
日常生活では,サマータイムを結構気に入っています.日本でもサマータイムについていろいろと議論していましたが,その是非を議論すること自体無意味なような気がします.なぜならば,理由は簡単で,「彼らには早くから働いて,夜も明るい内に早く仕事を切り上げ,早く(家族と)遊びたい」と言う気持があるからです.こちらでは,皆さん夕方にそれぞれのスポーツや遊び,家族との団らんなどを自由に楽しんでいます.大学でもそうで,いつも夜遅くいるのはたいてい,アジアからの留学生です.働くのがだめだとは思いませんが,もっと,自分の自由な時間を大切にしているという感じです.時間を自由に使っているというのか,各人が本当に楽しんでいるという感じがします.(これって,日本ではついついできないことですよね.)私も先日,アパートにあるアスレチックジム,テニス,などで夜に遊びました.つまり,仕事と遊びで,1日を2度楽しんでいるという感じでしょうか.(ただ,アメリカ人は仕事を楽しいと思わないかも知れませんが.....)
ご存じのように,「アメリカ人は,一般的に早く定年を迎えたいと言っているそうです.なぜならば,定年後に自分の遊びや楽しみが待っている」からです.日本では,最近は,少なくとも主婦はその傾向(日常の昼間をカルチャスクールやテニス等のスポーツを楽しんでいる)にありますが,男共はだめですね.定年後は奥さんの「濡れ落ち葉」になるのが関の山かも知れません.もっと毎日を楽しむ必要があるかと思います.もちろん,遊びやスポーツだけでなく,ボランティア活動や政治活動などを仕事後にやっても良いわけです.こちらでは,そのたぐいの「場」が市レベルや町内会レベルで簡単に加入できます.私も6月から英会話スクールと太極拳にチャレンジしようと考えています.
自分を自分で楽しむ姿勢ができる分,アメリカが羨ましいと感じるときもあります.この姿勢の根底には,自分の姿勢を自分ではっきりとさせるという基本思想があります.簡単なことですが,これってなかなか難しいですよね.私の研究(大学)でもそうです.研究内容の相談は自分からどんどん相手に話しかけないと,おいてけぼりになります.ご存じのように,本人が話をしない,仕事の質問をしない,相手の意見を聞かない等の消極的な姿勢は,他の人は,その人がその消極的な姿勢を望んでいると解釈します.ここでは,それを誰も遠慮しているとは解釈してくれません.どんどん,相手がいやがるくらいに話しかける.どんどん質問する.これが必要です.そう思うと,やっかいな国です.
ただ,先日,面白い体験をいくつかしました.こちらでも茶髪や,ピアス,鼻輪 等をしている若者を良く見ます.でも,彼らはドアは親切に開けてくれますし,礼儀も正しいし席も譲ってくれます.少し日本と違います.その格好が彼らの自分なりの主義主張の方法なのでしょうか.また,地下鉄で,最近の政治や教育について批判している人(頭のおかしい人でなく普通の人)を見たことがあります.日本だと何かうさんくさい人がいると思い,みんな避けて通りますが,その意見をまじめに聞き,その内容に対してまじめに反論する人がいました.もちろん,彼らは初めて地下鉄で会ったのです.彼らは別れ際に "OK. think about it together" と言って,分れていきました.これって,少し面白いですよね.
またこんな経験もしました.ボストンマラソンを見に行ったときのことです.ある人が黄色いリボンを誰彼となく配っています.別のアメリカ人がそれは何の意味かと聞くと,彼は「コソボ紛争に反対する人に配っている」と言いました.2人はその話を真剣にして,「良し,わかった.おれもリボンをつけよう」と言ってリボンをつけていました.それは彼だけでなく他の人も同じようにしています.誰もそれをうさんくさいとは思っていないようでした.私も試しに付けてみました(この際,コソボ紛争問題は度外視にして).そうすると,道を歩いている来る人来る人がこの黄色いリボンを付けていることに気が付きました.そのとき思ったのは,彼らは私と同じ意見なんだ,と言う何か一体感です.なかなか面白い体験です.もちろん,彼らはコソボ紛争に対して反対しているわけですから,その場で彼らとその話もできるわけです.
このように,それぞれが意見を持ち,自分の意見にしたがって行動する.当たり前ですが,このような力強さをここでは感じています.そう思うと,日本とは何か基本が違うような気がしています.それが宗教から来るのか,教育から来るのかはわかりませんが.....
少し,仕事の話します.昨日,留学先の先生と話をしました.彼は元国際ニューラルネットワーク学会の会長で,研究面でも生理学モデルやパターン認識,ビジュアルモデルを中心に多くの業績をあげている人です.温厚で優しいが研究では厳しく,決して自分の意見を曲げない人のようです.いつも,非常に忙しそうにしています.ここの CNS の学部長でもありますし,講演や学内の用事,研究費の管理,それと,研究等で時間が全くないようです.他の教授が彼と話をするだけでもあらかじめ電子メール等でアポイントを取らないといけないそうで,見ていても本当にいつも忙しそうです.また,ここでは,毎週の金曜に外部の講演者による講演会が開かれますが,その対応も彼がしており,これも忙しいようです.でも,この毎週の講演会はいいですね.非常に有益で気に入っています.彼の奥さんもここの教授で,彼女も有名な人です.多くのパターン認識モデルを提案しています.まだまだ,彼らの研究内容の詳細はわかっていませんが,自分が興味ある研究分野(ニューラルネットワークからの知識獲得 等)を言うと,多くの関係文献を手渡されました.それを読むだけで時間がなくなりそうです.
Boston Univ は町中にある大学なので,キャンパスの囲いがなく,街の中に大学関係のビルが乱立しているような感じです.ですので,それぞれのビルが大学の建物なのか,一般のスーパーなのかは一見してわかりません.大学の建物は入り口のところに赤い掲示板が必ずあるので,それを見て判断するしかありません.ここのCNS 学部は 本校からは少し離れたところにあり,3階建の小さなビルです.地下は講義室とセミナー室,学生の研究室があります.1階は学生の研究室とコンピュータ室,レクレーション室,2階と3階は先生方の研究室です.私の研究室は3階にあります.CNS には,専任と他学部との兼任を含め,40名の教員がいます.秘書は合計4名で,学部や学会の用事をしているようです.その他,コンピュータ管理担当,実験設備担当の人がそれぞれ一人います.学生は学部学生,修士学生,博士学生,PostDoc を含め,60名ほどいます.どうやら学部学生には研究室(机)はないようですが,コンピュータ室は使えるようです.修士学生以上の学生には自分の机が与えられます.5人程度でひとつの研究室を占めています.もちろん,各人にはコンピュータが与えられています.
各先生や学生のレベルは非常に高そうです.いつも学生同士,先生同士,学生と先生とで研究の議論をしています.また,ここでは,Windows や Mac よりも Unix(Linux) を使っている先生が多く,コンピュータ管理者はいますが,自分の計算機の環境は勝手に自分で調節しているようです.プログラムも学生に作らせますが,自分で作ることも多いと言っていました.それにしても,ソフトやプリンター,実験設備,コピー,図書,等の研究環境が充実しているので,自分のアイディアをすぐにでも実験できるようで,羨ましい限りです.ですが,それぞれの先生は日本と同様,自分の研究に一生懸命ですので,私のような客員研究員との共同研究はすぐには,実現できそうにありません.それはそうですよね.日本に外国人が来て,突然,共同研究をしようと言っても,自分の継続してきた研究はあるし,多くの時間を裂いてそう簡単に別の研究を開始できませんから....
このような状況でしょうか.





ボストンの夜は野球か音楽会で (6/7)[ TOP ]
こちら,ボストンは次第に暑くなってきました.昨日まではセーターを着ていたのですが,またたくまに,半袖に半ズボンとなりました.ここでは,春は全くないようです.
研究の方は,Jim (James Williams)という助教授の人と不定期の打ち合わせをしています.向うの方も当然,自分の研究で忙しいので,いつも一緒と言うわけにはいきませんので,こちらの方で考えたアイディアの意見を求めるという形式になっています.こちらの 留学先の CNS ではいろいろなニューラルネットモデルが提案されているので,4月と5月はそれらのアルゴリズムの内容や意味,概念を論文から理解しました.また,都合の良いことに,5月の末に CNS 学科が主催する国際会議が開催され,約 200 名もの参加者がありました.会議(発表)はチュートリアルを含めて,3日間あり,135 件の発表がありました.もちろん,留学先の CNS 学会の先生方も発表していましたので,彼らの研究内容を知るには良い機会でした.これだけの多くの参加者にもかかわらず,参加費は proceeding を含めて,$70 と安く,大学の施設をふんだんに使った結果かと思います.
CNS の先生方が提案しているアルゴリズムはプログラムのように解釈できるので,処理手順の理解は論文から簡単に理解できるのですが,この分野での生理学的な本当のバックボーンを持たない私にとっては,モデルの意味や概念を正しく理解するには簡単ではありませんでした.いろいろな人をつかまえては,質問し,議論しました.向うにとってはわけのわからない英語(たどたどしい英語)で質問されるのですから,迷惑だったかと思います.ですが,そのしつこさのかい(?!)もあって,基本モデルの ART, ARTMAP, fuzzy ART, fuzzy ARTMAP, Rule Pruning method from ARTMAP, ABL などは理解できました.その結果,面白いことに,CNS で提案しているいろいろなニューラルネットワークモデルも結局のところ,入出力データの関数近似を行っているわけですから,ファジィ推論とほとんど同じようなアルゴリズムを持っていることがわかりました.ただ,ファジィ推論と違うのは,ここで提案されているモデルは,ニューロン間の双方向の連想記憶のデータ処理と supervising のデータ処理とが同時に内在しており,入力データをあるカテゴリーに分類するのは教師なし学習で,そのカテゴリーがどのような名前のクラスに分類されるかは教師あり学習で学習することができます.また,学習に誤りがあると,クラスを訂正するのではなく,カテゴリーの領域を自動的に訂正していきます.例えば,教室の画像データを入力した場合,画像データの中から机を示す画像や椅子を示す画像,黒板を示す画像は,それぞれ,違うカテゴリーとして教師なし学習で学習します.ただ,それらの物体がどのような名前を持っているかはわからないですので,「机」とか,「椅子」,「黒板」とか言った固有名詞に学習させるのは教師あり学習で学習させます.このように学習が2重になっています.また,訂正処理によって,実際には,椅子にはいろいろな種類の椅子がありますが,それらをおおまかに「椅子」として,クラス化することもできますし,それぞれの椅子を個別に識別することもできるようになります.生理学な観点からは,人間もこのような学習を行っているそうで,その場合,短期記憶と長期記憶の2つの形式で学習していますが,CNS で提案されているモデルもこの人間のような記憶構造を持っています.その結果,パターン認識において,他の手法よりも認識率が良いという結果が出ています.例えば,映画のような動画から人物だけの画像を正確に抽出できます.
私の研究は,データからの知識獲得を行い,ニューラルネットワークのようなパターン処理とファジィ推論のような記号処理とを同時に持つモデルを構築したいと思っていましたが,ここの CNS のモデルには,そのデータ処理がファジィ推論と類似しているモデルが多くありますので,記号処理との融合が可能性が高いと思います.いま,その数個のアイディアを考えている最中で,どのアイディアが生理学的にも正しいのか,また,その精度を簡単なデータ例から検討して,Jim と共同でモデルが提案できればと思っています.
一方,先日は,ボストン・シンホニーホールに音楽会を聞きに行きました.ボストン交響楽団(BSO)は小沢征爾を音楽監督に迎える由緒ある交響楽団です.ですが,クラシックは10月から4月までしかしておらず,5月から夏までは,同じ交響楽団の団員が,クラシックのような固い音楽ではなく,ボストンポップス(Boston Pops)の団員として,もっと親しみやすい音楽を演奏します.しかし,場所と団員の人数はクラシックと同じです.1年中,クラシックを演奏するのではなく,半年間は,映画音楽やジャズ,行進曲,ゴスペル 等の気軽なポピュラーな音楽を演奏するために,所属団体を見掛け上,変えるわけです.ちなみに,小沢氏はタクトを振りません.ボストンポップスでは,Keith Lochhart と言う若い人(40才くらい)が指揮を取ります.また,あの "star wars" 等の音楽で有名な JohnWilliams がずっと指揮をつとめていたそうです.ですので,演奏者はクラシックと全く一緒なのですが,もっと気軽に演奏会を楽しむことができます.例えば,歌手や他の所属団員を演奏者に迎えたり,クラシック以外の楽器を多いに増やしたり,時には,演奏中に楽器を振りまわしたり,おどけてみたりして,演奏者も楽しみながら演奏します.また,1階のホールはテーブル席で軽い飲み物と食事ができますし,客もちょっと気取った格好で来る人もいれば,軽いジーンズで来る人もいて,観客もクラシックとまた違った楽しみを味わっているようです.私たちが行った日は,軽いクラシックと行進曲の日とジャズの日の2日間です.もう,2回も行ってしまいました.(^^;) 値段は日本に比べるとずっと安いです.観客が多いせいでしょうか.いつも満員ですし,手頃な値段で十分音楽を楽しめます.クラシックと行進曲の日は3階の右側側面にある中央にせり出した席でした.音は良かったのですが,壇上を見るためには横向きになるため,少し見にくかったです.しかし,演奏は堪能しました.Keith の少し女性的な指揮のもと,日本人の有名なバイオリン奏者(スミマセン名前は忘れました)の独奏や軽いクラシック,行進曲と2時間の演奏が続き(ちなみに途中で2回の休みが入ります.観客はロビーやレストランで飲み物を楽しみます),最後の2回目のアンコール曲では,アメリカ人なら誰でも知っている軽快な行進曲で,観客席からの大声援とステップ,手のリズムの大演奏も加わり,演奏者はそれに応えて,大熱演でした.曲が終わると天井から大きな星条旗が垂れ下がり,拍手と大歓声の内に終わりました.最後は恒例のスタンディング・オベーションです.このように面白く,クラシック系の音楽を楽しめるとは思っても見ず,本当に楽しみました.このような試行は日本でも多いに採用すれば良いですね.本当に面白かったです.
また,別の日の夜は野球観戦に行ってきました.ボストン・レッドソックスは,ここボストンを本拠地にしていますが,fenway park と呼ばれる野球場を持っています.この球場はフェンウェイ stadium 等と呼ばず,フェンウェイ 公園といいます.アメリカで最初に作られた由緒ある球場です.古くはレッドソックス時代のべーブルースが第1号のホームランを打った球場でもあるらしいです.しかし,そのためアメリカで最小の規模の野球場(観客数も最低:3万5千人程度)で,外野席はライト側しかなく,レフト側は green monster と呼ばれる大きなグリーンの壁しかありません.壁の向うは道路になっています.高い壁をボールが越した場合にホームランと認定されます.何か,昔,子供時代に草野球をやったときと同じようなルールで懐かしく感じました.ちなみに,この green monster はボストンニアンも愛着をもって大切にしているようです.先日,この fenway park を老朽化のため,建て直すという案があり,その新たな球場のデザインが発表されました.新たな球場は今の球場の南側に隣接して観客席も大きくなってなって建築されるのですが,しかし,なんと,この green monster は今の同じサイズで残すそうです.ですので、新しい野球場もレフト側のスタンドはありません.面白いですね.昔,甲子園球場の掲示板を電子掲示板に変えるときにその形状や色に関して論争になりましたが,それと同じでしょうか.ボストニアンは fenway park をそれほど愛しているようです.後で分ったのですが,この日は family game と言われる入場料が半額となる日でした.しかし,そのような必要もないくらいに,fenway park はいつも満員です.特に,ニューヨーク・ヤンキース戦は4月のシーズン開始時にすでにすべての前売り入場料は売り切れになります.日本の阪神-巨人戦と同じ雰囲気です.(他の球場はどうか知りませんが,ここでは内野席も外野席もすべて予約席です)実は,のこのこと,次週のヤンキース戦のチケットを買いに行ったのですが,とんでもない話でした.でも,この fenway park は大学から歩いて5分程度の程度の距離にあるので,また,キャンセルのチケットを狙いたいと思っています.
試合はシアトル・マリナーズとボストン・レッドソックス戦でした.もちろん,レッドソックスを応援するために行きました.しかし,行くまでは知らなかったのですが,運良く,マリナーズは日本人のマック鈴木が先発しました.彼は日本のプロ野球出身者ではなく,確か高校か大学から直接大リーグを目指したガッツのある選手です.急遽,夫婦でマック鈴木を応援する方に鞍替えし,まわりのレッドソックスのファンの大声援と冷たい視線に敗けずに応援しましたが,彼は長いマイナー生活の後で今年メジャーに昇格したところで,彼のボールは素人から見ていてもそれほど速くなく,またコントロールも悪いため,打たれて当然という感じで,結局,7回途中で降板し,敗け投手になってしまいました.仕方ないですね.彼はまだ今年は1勝もあげておらず,防御率も5点台ですが,一方のレッドソックスの先発のマルチネスは,いま乗りに乗っている投手の一人で,現在まで11勝1敗,防御率も1点台です.脱三振王で,1試合19個の三振を取った選手(ちなみに野茂は13個)です.試合が始まる前から敗けて当然と言った感じでした.試合は9対2でレッドソックスが勝ちました.緑の壁を越えて行ったホームランあり,三振の連続あり,ファインプレーありで,鈴木投手には申し訳ないですが,大いに野球観戦を楽しみました.それにしても,まわりの声援やエンジョイする雰囲気は尋常ではありません.マルチネスが三振を取る度に大声援,レッドソックスの選手がファールボールのフライを取ろうものなら,取るなとブーイング,投手コーチがマウンドに行って彼を交代させるそぶりを見せるだけで,またまたブーイング,最後は観客全員がスタンディング・オベーションと大拍手でマルチネスをねぎらいました.このように,アメリカ人は楽しむときには楽しむ方法を知っています.アメリカ国家独唱の静寂と終わったときの歓声,何回となく起るウェーブ,誰かが持ってきたビーチボールがスタンドを空高く跳ね,売り子は呼び掛けに応じてピーナッツの袋を投げ,そのコントロール良さに対する拍手,ファールボールの取り合い,それを取った人への拍手,まわりの知らない人同士の会話などなど,こちらまで夜遅くまで一緒になって楽しみました.
ですが,アメリカの銀行のシステムのややこしいのに少し参ってしまいました.一般に,アメリカでは,支払いに小切手を用います.先日は,銀行の ATM からその小切手(personal check)を発行するための金額を入金したのですが,そのお金を saving account の方にいれてしまいました.この英語から分るように,日本語に訳すと,預金口座ですから,これで間違いないと思ったのですが,別に,checking account があったわけです.ATM でその項目を選択できるのを見落としてしまいました.つまり,銀行口座には,personal check 専用の checking account と 預金専用の saving account の2つがあったのです.これらの2つの口座は同じ口座番号となっていて,見掛け上同じなのですが,personal check の金額は checking account からしか引き下ろせず,つまり,saving account に金額があっても,personal check は切れないわけです.そんなことを知らなかったため,特に問題はないと思い,そのままにしておいたら,銀行から checkingaccount に預金額がないために,小切手が切れず(つまり不渡りになり),罰金の23ドルを支払いなさいという催促の手紙をもらいました.慌てて,翌日,銀行に行き,この2つの口座のことを知り,入金したのですが,また,別の手紙が来て,またまた,更なる罰金23ドルを支払いなさいと来ました.再度,慌てて銀行に行ったわけです.なぜこうなったかと言いますと,1回目の手紙が到着した日に,銀行は2回目の催促の手紙を発送しており,こちらが1回目の翌日に入金しても,結局間に合わなかったわけです.このことを銀行で話をしました.結局,こちらの言い分を認めてもらい,2回目の罰金は無しにしてもらいました.(この罰金が交渉で無しになることも面白いですね)そのとき,話を聞いて分ったのですが,面白いことに,現金を ATM から入金して機械が金額を認識しても,再度人間がその金額を確認するので,すぐには入金できた状態にはならないと言っていました.非常にけったいなことですね.無駄なことをしています.その一方で,電話やインタネットからの入金,振り込み等は無料で即座にできるそうです.少しおかしいですよね.
最近は,こんな具合です.





独立記念日は楽しい (8/10)[ TOP ]
こちらボストンでは暑い日とそうでない日(比較的寒い日)とがランダムに現れて,体の方がそれについていけません.非常に対応が難しい毎日がつづいています.例えば,昨日は37度もあったのに,今日は25度です.ですので,夏服も冬服も関係ありません.困ったものです.しかし,8月を過ぎると,早くもほんの少しだけ涼しくなり始めました.アメリカ中部では暑さのために多くの人が亡くなっていることを考えると,アメリカの広さを感じます.
研究の方は,7月の中旬にワシントンDCで開催された IJCNN 国際会議に出席してきました.ニューラルネットワーク関係では有名な大きな会議です.私が留学している CNS からも数人参加していました.ファジィ理論との融合の研究が多くあり,非常に参考になる会議でした.また,会議に参加していた University of Missouri の Prof.R.Sun と議論をする機会がありました.彼はニューラルネットワークと記号処理モデルとを融合した新たな知識モデルを提案しています.彼との議論の中で少しヒントを得たことがありました.そのアイディアは簡単なのですが,まだ誰もその手法を提案していないように思います.実際,IJCNN でもそのような提案手法はありませんでしたし,発表者に質問してもそのようなアイディアは知らないと言っていました.早速,会議からボストンに戻ってきて,CNS の Prof. Williamson とそのアイディアについて話をして,新たなモデルが提案できそうな気がしています.また,関連分野の調査論文を読みましたが,そのアイディアに関するものはなく,独自性と言う点でも良いようです.ただ,それが机上の空論にならないようにプログラムをくんで,数値実験をする必要があります.その結果,優位性が認められなければただの意味のないアイディアに終わるわけですので,まだまだ,喜んでいるわけにはいけません.数ヶ月後には良い結果をご報告できるようにベストを尽くすつもりです.
それにしても,英語で議論するというのは大変苦労するものです.結局,紙と鉛筆で文章や図,式を書きながら話をすることになります.それも,喋っている文章の単語を直接,紙に書いて議論する場合もあります.そうでないと誤解を生じますし,こちらの微妙なニアンスが通じません.その点,式は便利ですね.万国共通です.改めてその重要性(?!)を実感しています.その他,あらかじめ電子メールでこちらの議論したい内容を送っておいて,そのプリント用紙を持っていって議論する場合もあります.この方法は結構便利です.相手もこちらの内容がわかりますので,議論がスムーズに進みます.それにしても,CNS では,皆さんは電子メールをいろいろな事に使っています.例えば,学生への連絡はもちろん,教員同士のアポイントの連絡,論文や書籍の捜し物,パーティの連絡,学会の情報,教員の採用情報,ポストドクターのための就職情報,リクレーションルームの後片づけの文句やプリンターの故障の文句なども流れています.結構,おもしろいです.
7月4日はアメリカの独立記念日です.毎年,この日にアメリカ各地でいろいろな催しがあります.ボストンでは,毎年,ボストン交響楽団(BSO)が野外音楽堂でクラシックとアメリカ行進曲などのポップスを演奏し,その後,チャールズリバーでの花火が恒例となっています.今回は,皆さんご存じのように小澤征爾が今年,数年後にBSOからウィーンオペラの総監督に移籍すると声明を出しました.ですので,今年は特に盛大でした.それと,皆さんは,小澤はスコアー(楽譜)を持たずに演奏しますが,ご存じでしたでしょうか? 小澤征爾は基本的には暗譜で指揮をするそうです.どんなややこしい現代曲でもです.これはたいへんです.なぜならば,演奏前に全ての楽譜を記憶している必要がありますし,演奏中に間違った奏者に指揮を振ればその時点で曲がとまるからです.事実,昔,岩城宏之がストラビンスキーの「春の祭典」を暗譜で振っていて,頭の中の楽譜のページをめくり間違え,音楽が止まってしまったそうです.(要するに、指揮を間違えた)そう考えると,驚異的です.
私も独立記念日は,年に1度のことなので(来年は日本なので),せっかくの機会と思い,家内と2人で野外音楽堂に行ってきました.予想通りたいへんな人混みでした.まるで芋を洗うかのごとくです.どこも一杯で良い場所などないのですが,人々は右左と,スペースを探して歩き回っていました.私たちも同様で演奏30分前に来たので同様に右往左往していました.ですがスペースはどこにもありません.そうですよね.皆,5時間や7時間前に来るらいしです.人が多いので,どうしても道路で立ち往生してしまいます.そうすると皆,その場所に立ち止まって,まるでその場所が自分の観客席のようになってきてその場所を動きませんでした.警官がすぐに動くように言うのですが,動きようもないし,移る場所もありません.そのうち演奏が始まってしまいました.そうすると道路の後方の人たちから文句が出始めて,皆座らされてしまいました.ですが,その場所が結構前の方で,30分前に来たのに関わらず,良い場所でした.道路の後方の人にあとで聞いたのですが,7時間待っていたそうです.30分前に来て,その人たちも良い席を確保してしまいました.演奏はまあ満足しました.もちろん,雑音やまわりの話し声はありますが,雰囲気は抜群で良い思い出となりました.小澤も見ましたし....演奏後,花火を見ようと思い,river side の道路を西の方に移動しました.花火は結局移動中の適当な場所で見ました.結構,すごかったです.日本の花火に劣らないくらい豪華でしたね.これも良い思い出となりました.
それと,つまらないことですが,テレビを見ていて思うことを書きます.こちらでは朝はニュースと天気予報(特定の番組は子供専用),昼にかけて,いわゆるトーク番組やワイドショウ的なものをやっています.午後は良くわかりませんが(家にいませんので),夕方になると映画とスポーツ,夜は映画とコメディ番組となります.いったい,ドラマはいつやるのかと言えば,全くありません....唯一のドラマ風のものと言えば,「スタートレック」と「ER」ぐらいです.ほとんどの番組がコメディドラマ(?!)です.つまり,昔の「ルーシーショウ」や「奥様は魔法使い」なるホームコメディもの(例が古くてスミマセン)の類いばかりです.1分間に数回,笑い声のバック音声が流れるやつです.内容は英語の語学力が不足していて良くわかりませんが,全く感動やドラマ性はありません.単純に笑えれば良いという類いのものです.ですので,ほとんどが全く面白くありません.
その中でもひとつだけ気に入った番組があります.「Mad about you」といいます.これもホームコメディの類いですが,夫婦が主人公です.すでに番組が始まって数年になるかと思いますが,推測するに,その夫婦が出会い,結婚し,子供が産まれるまでの毎日の生活をコメディ風に構成しています.しかし,この番組は主人公達の実年齢が年を重ねるのとあわせて,数年かけて作っているようです.日本の「北の国から」のホームコメディ版と言えば推測がつくでしょうか.主人公の夫は放送局の制作担当者,奥さんは同じ放送局の広告担当者と言う設定になっています.(ちなみに,彼は本当にこの番組の制作者でもあります)内容はそうたいして感動するものではありませんが,例えば,先日の放送では,次のようなものでした.夫婦が結婚記念日を祝うために映画のチケットを購入しました.ですが,購入間違いで,席がバラバラになってしまっていたので,主人が映画のチケット売り場に再度行き,チケット売り場の担当者に席を代えてもらうように頼みます.しかし,頑固な担当者で席を代えてくれません.やっとのことで,夜の10時までに来ればそのとき,席を別の人と代えてくれるようにこちらから頼んであげると言ってくれます.当日,夫婦は地下鉄を使って映画館に行くのですが,途中,ラッシュで離ればなれになってしまい,連絡がつかなくなってしまいます.奥さんの方は映画館の名前しかしらないので,そこに行くまでにいろいろな人に聞き,苦労して,やっとのことで行きます.途中,ハイヒールの踵が折れたり,雨で服が汚れたりしたので家にも帰り,散々な思いでやっと映画館に着きます.主人の方は家に留守番電話を録音しようにも小銭がなく,(こちらではよく音楽やコーラスを路上で演奏していたりするのですが,その類いの)プラットホームで歌っている4人コーラスのグループを見つけて,彼らが集金したお金からやっとの思いで,しかもいやな思いをして,お金を借りて電話します.しかし,すれ違いで,結局連絡がつきません.2人ともやっとのことで映画館の前で会いますが,とうの昔に10時を過ぎているために,席が離ればなれになってしまいます.せっかくの夫婦の結婚記念日なので,席が別々では意味がないと,奥さんの発言で映画はあきらめて,家に帰ることにします.夫婦とも疲れてるし,がっかりしています.ですが,家に帰る途中で地下鉄のプラットホームで先ほどのコラース4人組がまだいたので,主人が気を効かせて,お金を払い,2人だけのためにコーラスを歌ってもらうと言うものです.まあ,途中はコメディですので会話や身ぶりが面白くしてありますが,最後はほのぼのとした雰囲気に作ってあります.また,この番組が面白いのは,時どき,有名人が主人公たちの仕事関係の友人や担当者として登場します.例えば,先日は「小野ヨウコ」が重要な広告スポンサーとして登場しました.彼女の設定は「わがままな性格の勝手な女性」と言うものです.小野ヨウコそのものなので笑ってしまいました.このような登場人物の実生活のドラマでホームコメディのものははじめてでしたので,結構面白く見ています.このように,日本のドラマとは全く違う構成になっているので,その違いが結構,面白いです.しかし,これらの番組を見ていて,良く思うのですが,一般に「白人」が主人公です.「黒人」や「アジア系」,「ヒスパニック系」は主人公にはなりません.また,ニュースキャスターや司会者もほとんどが白人です.人口比率で言えば,アメリカでは,いまや白人は少数派になっているはずですが,やはり,一種の差別があるようです. 特に,ここ,東海岸はヨーロッパに近いせいか,研究者や(ホワイトカラーの)サラリーマンなどは,白人です.それ以外の人はいわゆる(ブルーカラー)の労働者が多いようです.先日も,ボストンから北に5時間ほど車で走った有名な避暑地に泊まりがけで遊びに来ました.この地域は,WASP として有名な地域です.通りで出会う人出会う人の中に,一人も黒人はいませんでした.信じられますか? 観光地です.アジア系もほんの数人だけでした.宿泊のホテルは,B&B (ベッドと朝食つきの日本で言えばペンションのようなもの)でしたが,電話で予約して,当日,到着したときに迎えてくれたオーナーは一瞬,戸惑いの顔をしました.後で考えると,私たちがアジア系だったからではないかと思います.まあ,ホテルを去るときには彼らとも打ち解けて,私たちに親近感を感じてくれましたが,はじめはそのような感じを持ったのは間違いないようでした.まだまだ,アメリカも広いです....





運転免許証なんて簡単にとれるはず?! (9/18)[ TOP ]
こちらボストンでは朝晩が涼しくなってきましたが,昼は結構暑く,プールもまだやっています.一方で大型のハリケーンがやって来て,フロリダでは町ごと避難したりして,ボストンでも1週間ほど大雨でした.
と言っても,先月は長期の夏期休暇を取りましたので,研究の方はそう進んでいません.いまは研究のアイディアをまとめた文書作成とプログラム制作にかかっているところです.ですので,今回は,研究の話はやめにしまして,生活に身近な自動車に関して少し話をします.
ご存じかと思いますが,アメリカは州によって生活に関する法律が異なります.昨年,日本で仕入れた情報によりますと,他の州は知りませんがマサチューセッツ州の自動車保険料は平均で年間 800 ドルと聞いていました.また,自動車保険に加入するとき,日本の警察(安全協会)発行の英文無事故証明書と保険会社の英文自動車保険証を持っていくと多少,保険料が安くなると聞いていました.ですので,600 ドル程度になるかと期待しつつ,その2つの英文を持って来ました.ところが,今年の1月から自動車保険に関する法律が大幅に変わってしまいました.なんと,保険料が倍に値上がりしてしまいました.年間 1,500 ドルもします.なんでも,諸外国からの一時住居者が自動車免許を簡単にアメリカで取り,そのため,事故が絶えないと言う理由で簡単に法律を変更し,値上がりしたそうです.真意のほどはわかりませんが......しかし,英文の無事故証明書は有効で,過去5年間にわたり無事故,無違反だと,保険料が大幅に値下げします.また,マサチューセッツ州発行の免許証を持っている場合にも値下げします.しかし,日米の法律に関する解釈の違いからある問題が発生しました.それは駐車違反に関してです.マサチューセッツ州では,駐車違反は罰金刑だけで点数は減点されません(余談ですが,駐車違反代金は 15 ドルです.一方,市内で何かのフェスティバルがあるときの駐車特別料金が 20 ドルのため,多くの人が駐車違反を知りながら,そこらに車を置いてしまいます).しかし,ご存じのように,日本では,駐車違反は罰金も含まれたれっきとした違反です.点数も減点されます.私の場合,過去5年以内で駐車違反をしていましたので,日本から持ってきた英文の証明書には違反歴が付いてしまっています.つまり,無事故無違反の年数が短くなってしまっています.その結果,マサチューセッツ州の法律では,本来,無違反の期間が5年間あるはずなのに,解釈の違いで無違反の期間が数年に短くなり,保険料がそんなに安くならない結果となってしまいました.仕方がありませんので,マサチューセッツ州発行の免許証を取ることにしました.運転だけならば国際免許証を持っていますので,問題はないのですが,アメリカでの免許証の試験を受けることにも多少興味がありましたので,取ろうと思った次第です.
マサチューセッツ州の免許証は5年間有効です.もちろん,米国どこでも使えますし,カナダでも使えます.申請時に実際に住居しているという証明書(小切手,電話代等の請求書,ID カード)を見せ,申請時にその場でそのまま筆記試験を受けることができます.筆記試験は英語でも日本語でも受けられます.20 問中 14 問以上の正解で合格です.時間は無制限です.筆記試験の受験料は 15 ドルです.筆記試験に合格後,仮免が発行され,路上試験の予約を電話でします.路上試験は自分の車を持ち込み,警察官が助手席に乗って試験を受けます.速度制限,車線変更,一時停止,縦列駐車,スリーポイントターン(日本語ではスイッチターン)などが試験項目です.約 15 分程度で終わります.路上試験の受験料は 20 ドルです.路上試験に合格後,免許証の発行の申請ができます.発行申請に 33.75 ドルかかります.ストレートで合格すれば,68.75 ドルしかかかりません.安いですね.
私の場合,筆記試験は日本語ではなく英語で受けてみました.しかし,微妙なニアンスが英語ではやはりわかりにくく,結構間違ってしまいます.試験は,コンピュータの表示上に問題とA〜Dの4つの選択回答が出ます.苦手な問題はそのときには回答をスキップして後に回すこともできます.20 問中で 14 問以上の正解が必要です.毎回,A〜Dのどれかを選ぶごとに正しい答えが表示され,自分の回答が間違っているか正解かがすぐわかるようになっています.私の場合,運良く合格しましたが,間違った答えを連続して回答した場合など,残りの回答可能な数がカウントできますので,あまり心臓には良くないですね.話によると,筆記試験は4種類しかないらしく,何回でも受ければいつかは合格できるらしいです.(ちなみに,日本語で受験する場合,日本語の解答用紙を持ち込みカンニングしても日本語が分からない彼らにとっては,大丈夫だろうという話です.誰も試していませんが....)
路上試験ですが,結果から言えば,1回目は不合格でした.朝早く(朝8時),試験場に行きました.試験場は上記にもあった Watertown と言うところで,モールの中に,RMV があります.しかし,朝8時はあまりにも早いですので,RMV の事務所は閉まっています.それどころか,モールの入り口さえも閉まっています.何人かがモールの正面玄関で待っていたので,聞いてみると,同じように受験する人たちでした.でも,何の表示もアナウンスメントもありません.その人たちもどうして受験するのかわからないと言った感じでした.そのうち,8時頃になると,1台のパトカーがやって来て,警官が車から降り,受験する人はパトカーのそばに集まりなさいと言います.みんなその場に集まると,早口な英語で受験申請書の書き方を説明し,仮免許を集め始めました.説明が終わると,「グッドラック」と言ってパトカーごと立ち去ってしまいました.受験する人たちも解散してしまいます.全く不親切そのものです.私は何のことかさっぱりわかりませんでした.モールの駐車場に止めてあった自分の車の中で少し待っていたのですが,もしかすると,モールの裏が路上試験のスタート地点になっていて,その場に移動しなさいと言ったのかも知れないと思い,あわてて,裏に行ってみたところ,案の定,そのようです.警官には今頃まで何をしていたのかと嫌みを言われましたが,試験は受験することができました.
知人のメールのおかげで,「ハンドシグナル」を聞かれることは知っていたので,その件はクリアーし,車のストップランプ,方向指示器,ブレーキ等を点検した後,車を発進させました.turn right, turn left, go straight, keep right の指示に従い問題なく車を走行させていたのですが,住宅街に入ると警官が pull in, pull over と突然に言いました.たぶん,車を道路脇に寄せろと言うことのようです(走行中は意味が分かりませんでしたが,後で調べたところそのようです),縦列駐車をしなさいということだろうと思い,車を車道の右側に止めて縦列駐車をしました.今度は,警官が左側にあるレストラン風の駐車場を指さして,その駐車場を使ってスリーポイントターン(スイッチターン)をしなさい,と言われたような気がしました.ですので,車道からその駐車場に頭から入り,駐車場内だけでなく駐車場の入り口と車道を使って車道を反対方向にスリーポイントターンしたところ,それは違うと言われ,駐車場内の駐車スペースを使って,スリーポイントターンをしなくてはいけないと言われました.再度,駐車場内でスリーポイントターンをしました.その後,全体で30分くらい走ってモールに戻ってきたのですが,警官が言うには,「おまえは運転技術は良いが,スリーポイントターンがダメなので次回再度チャレンジしなさい」と言うことでした.結局,落ちてしまいました.何のことはありません.スリーポイントターンの場所を間違えただけです(結局,英語の問題です).残念で仕方がありません.しかし,面白いことに,RMV の office がまだ開いていなかったので,路上試験の受験費用はまだ払っていません.矛盾しているなぁと思いながら帰ってきました.
路上試験の2回目は1回目と全く違いました.同じ朝8時に予約を取りました.まずパトカーが来て警官の試験の説明までは同じですが,今度の警官は本当に親切で,皆を集めての試験の注意事項はゆっくりと身振り手ぶりを加えて説明してくれました.また,「試験ではハンドシグナルを質問する.いま,私からその答えは言えないが,知らない人は他の誰かに聞くように」と言っていました.まぁ,試験のヒントですね.それにしても,警官が前もって試験内容を喋りますか? 前回とは対応が全く違います.車をモールの裏に移動した後,警官が私の車に乗る前にも,おまえの名前の発音は「イサオ」で良いのか? 日本で何年運転していたのかと,親切に聞いてくれました.約15年くらいというと,なるほど,なるほど,と一人で納得していました.形通りのハンドシグナルの質問と回答を行い,ストップランプと方向指示器,クラクションの確認(1回目の試験の確認事項と違うところが面白い)を行い,車に乗り込んできてブレーキの確認を行いました.「STOP の標識では必ず一時停止,左右確認をするように」と言う,これまた懇切丁寧な説明の後,何か質問はないかと聞くので,「スリーポイントターンはどこでするのか? また,その方法はどうするのか?」と聞きました.場所はあとで説明すると言っていましたが,スリーポイントターンの方法は懇切丁寧に説明してくれました.その後,リラックスして受けなさいとも言ってくれました.コースは駐車場を出て右に曲がり,大きな道路に出て,すぐに住宅地に行きました.そこで縦列駐車の幅寄せ,とある住宅の小さな駐車場を使ってのスリーポイントターンを行いました.スリーポイントターンでは,まずバックしながらその駐車場に入り,方向を展開するのだと再度説明してくれました.その後,いま来た道を戻ってきました.時間にして,10 分も経っていなかったかと思います.運転中は,ずっと,"Good" と "Excellent" を繰り返していました.簡単にパスしてしまいました.しかし,前回と全く対応が違うので,ちょっと拍子抜けしてしまいました.
アメリカでは人によって対応が全く違いますし,それは良くわかっているつもりですが,これほど対応が違いすぎると,本当に戸惑ってしまいます.まあ,結果オーライでパスしましたので,良かったですが.....
今回は以上です.





旅行中,たいへんなことに...(11/8)[ TOP ]
こちらボストンでは朝晩が非常に寒くなってきました.昼はそうでもないのですが,夜にもなると手袋,コート(ジャケット)等の人が多くいます.日本の12月頃の寒さでしょうか.でも,これはまだ序の口で,まだまだ寒くなると聞いています.困りものです.
研究面では,10ページほどの資料を作りました.留学先の Cognitive and Neural Systems, Boston Univ の Prof.Williamson(通称,Jim) が,人間の大脳皮質第1視覚野での神経細胞に関する色々な実験結果から新たなニューロモデルを構築しています.ここ CNS では,Vision に関するニューラルネットワークモデルを構築しているのですが,Jim のモデルはその1つです.人間の視覚について少し説明します.一般に,眼球から入ってきた情報(光線)は,ガングリオン細胞,桿体細胞,錐体細胞を介して,外側膝状体に入り,画像情報の変換を行って第1視覚野に入ってきます.第1視覚野では,画像情報は光のスポットと言うよりも分布状になって受容野に入力されます.受容野には光の明るさに反応する部分と暗さに反応する部分の両方があります.しかし,どちらも時間とともに,受容野上の情報は失われていきます.面白いのは,人間は,常に眼球を動かせてこの情報が失われないようにしているそうです.この分布状の情報は円状ですが,第1視覚野での神経細胞のより深層部では,円状の情報が複数結合して楕円状になっています.深層部では,この楕円状の細胞が12種類からなる1コラムを基本パターンとして,複数のコラムで構成されています.このコラムは方位選択性という特徴を有していて,オブジェクトの線分(例えば,机の端の線など)の方位性だけを認識します.12個の細胞はそれぞれ,15度きざみごとのスロットの線分だけしか認識しませんが,これらを組み合わせることにより,より複雑な図形を認識できるようになっています.例えば,アルファベットの「A」と言う文字は,「-」,「/」,「\」の3つの線分の組合わせで構成されていますが,第1視覚野では,まず,受容野の小さな円状の細胞で線分のあるなしを判別し,次に,深層細胞部では,これらの円状分布を重ねて楕円状分布を作り,しかも,3つのそれぞれの線分(角度)に反応する細胞(その付近の細胞も)だけが反応して,その後,より深層部で,それらの結果を組み合わせて,アルファベット「A」を認識するようになっているそうです.Jim のアイディアは,入力層は第1視覚野の円状の分布入力を与えるが,層を重ねるにしたがって,それが楕円状になり,出力層にそのオブジェクトの答えを教示してやると,層のノード間の重み荷重を学習して,正しく答えの教示に合致するようになるニューロモデルを考えるというものです.しかも,その学習方式に,いままでのニューロモデルで多く使われている誤差逆伝播学習を用いず,Vigilance によるフィードバック信号を用いるというものです.これは,生理学(認知心理学)に立脚したモデルで非常に面白いものです.しかも,さらに面白いのは,その分布をファジィ集合を考えると,ニューロモデルの計算過程がファジィ推論と類似している点です.つまり,考えようによっては,ニューロモデルから画像処理やパターン分類の処理過程を if-then 型のファジィルールとして抽出できるのです.ですが,この抽出を可能にするため,新たなノードとノード間の重み荷重の忘却(pruning)手法が必要になります.今回,私の研究では,出力のクラス,中間層のカテゴリー,入力層において,情報エントロピーを用いた3種類の新たなpruning 規則を定義しました.そして,その処理アルゴリズムを考案しました.さらに,この pruning 手法の特徴や性質を議論しました.今後,プログラムを使って数値実験を行う予定です.
さて,生活面ですが,大きな旅行を夏と秋に2回しました.どちらも,カナダ方面への旅行でしたが,車での旅行です.その時の感想を少しお話しします.
1回目は,夏にナイアガラに行きました.ただ,途中,大きな災難にあってしまいました.ボストンからナイアガラへは高速道路を使えば,約10時間ほどで行けます.ですが,120km/h での10時間はちょっと大変ですので,途中,2,3泊しました.最後の2時間ほどでナイアガラに着く時点だったと思います.地図で見れば,オンタリオ湖の側を走っている州道がありましたので,たぶん,綺麗かと思い,高速道路を離れてそちらの方に向かったわけです.思った通り,トウモロコシ畑と草原の中を真直ぐに道が延びていて,まわりは静かで,夕日と湖のコントラストがとても綺麗でした.しかし,誰一人通らない寂しい道で,人家もありません.時間は8時頃だったでしょうか.まわりが暗くなってきたときに,突然,車のインジケータの「Oil Change」の警告灯が点灯しました.びっくりしました.何か車に問題があるのかと思いました.まわりは真暗で,人家がなく,人も通りません.もし車が動かなくなったら大変です.エンジンを再スタートさせたり,調べたりしましたが,理由がわかりません.本当に不安でした.慌てましたし,恐かったです.草原の中で立ち往生して,誰も通らないところで,車の中で朝まで寝るとなったら......アメリカのことですから,通りがかりの誰かに襲われるかも知れませんし,夏だったから良いものの,真冬で車が動かなくなったら,それこそ死ぬかも知れないわけです.その時,思ったのは,自分で自分の周りのことをしっかりしておかないと,この国では生死に関わるかも知れないと言うことです.軽々しく旅行に出かけ,旅行前に車の点検などしていなかったし,マニュアルも読んでいませんでした.エンジンルームを開けるノブの場所も知らなかったのです.それも,高速道路を走っていたのを地図で見つけた湖のそばを走ろうと急に思い立ち,ルートを変更したそのあとでした.ガソリンスタンドがあるかどうかとか,道の状態はどうだとか,人寂しい所かどうかなどとは全く考えもしませんでした.今から考えると,日本の道路の感覚だったのでしょうね.その後,恐る恐る車をゆっくりと走らせ,苦労して一般の人を見つけ,車の調子が悪くなったことを言いました.その人はすぐにボンネットを開けて,車の様子を見てくれました.正直な話,私は,車が悪くなったとき,まず思ったことはどこかにガソリンスタンドやメカニックの人がいないかどうかで,真剣に自分の車の調子を調べようなどとは,真暗がりで気が動転していたのか,すぐには気がつきませんでした.結局,車の調子は直らず,ナイアガラのホテルまで普通の速度の半分で走り(4時間かけて),コワゴワ走りました.途中,真暗な人家のない道をどちらが正しい道なのかもわからず,ほんとうに恐ろしかったです.翌朝,ホテルの近くのメカニック(自動車修理屋)で点検してもらうと,何のことはなく,インジケータの「Oil Change」の警告灯はただの「オイル交換の注意灯」だったのです.つまり,ある距離だけ走行すると,それをカウントしていて,ランプが自動的に点灯するのです.運転者へのオイルの交換を促すだけのものです.警告灯のリセットボタンがあって,それを押すと問題なく消えました.車には何の問題もなかったのです.呆気に取られてしまいました.しかし,本当に良い経験でした.その後,ナイアガラでの余談があります.その日,大雨があり(この大雨も日本では経験できないようなすごいものでした),ホテルに帰る途中,道路の至る所に水溜まりができていたのですが,その1つの水溜まりを渡るときに,数台の車が停止している最後尾に私の車も停車したところ,後ろからタクシーに追突されてしまいました.私の車の後ろのバンパーとドア(ボンネット)が壊れ,曲がってしまいました.マフラーも曲がり,変な音がしています.もう踏んだり蹴ったりです.幸いにも,タクシーの運転手が親切な人で全部自分が悪いからと言い,事故情報を全て書いてくれて,警察に連絡して,処理を済ませてくれました.しかし,それにしても,ナイアガラは私にとって鬼門の場所となってしまいました.翌日,昨日訪れたメカニックに再度行き,店の人には呆れられるし,ボストンへの帰りはそれこそ,恐る恐る定速で走らないといけないし,散々な旅行となってしまいました.
しかし,これにめげずに,しっかり旅行を楽しみました.帰る途中,Cooperstown と言う小さな街を通ったのですが,この街が予想と反して有名な街だったのです.私も知らなかったのですが,ここは,アメリカ大リーグ野球試合が最初に開催された街で,大リーグの野球殿堂があり,街全体が野球一色の街だったのです.その殿堂はアメリカで唯一の正式な殿堂で,「野茂投手」のノーヒットノーランの時のボールも飾られていましたし,王選手のバット,金田選手のグローブ,福本選手のスパイク,衣笠選手のユニフォームなども飾られていました.特に,衣笠選手のユニフォームが一番大きな場所を占めていて,日本の野球界と大リーグとを比較するときに,連続出場試合記録だけは正式な記録として,アメリカ人も認識しているのだなぁという感じがわかり,興味深かったです.面白い街で楽しかったです.
とにかく,この旅行で思ったのは,自分のことは自分で守り,何かあったときには,できる限りの対処を早急にするように心掛けなければいけないと言うことです.そうしないと,広いアメリカで生きていけないような気がしました.これがこの国での常識なのでしょうね.気候も日本のように,温暖ではありませんし,急にハリケーンが来たり,竜巻が来たり,雪が降ったり,熱帯になったり,対応のしようがありません.実は,日本にいたときに,夏が終われば夏服を日本に郵送しようと思っていたのですが,夏服もまた,いつ,必要になるかどうかわからないので,まだ送ってはいません.万事がこのようなものです.ですので,アメリカ人が,比較的,自分の周り(他人も含め)のことには無頓着で,無関心,物凄くアバウト,繊細さがない割には,何かあったときには,実行力があると言うのは,何となくわかるような気がします.彼らがアメリカに移民してきたときから,そうしないと,この国の風土と気候に対応できなかったのかも知れません.逆に,日本の風土や気候は,比較的温暖ですので,今のような制度や風習,洗練さができ上がったのかも知れません.そのようなことを思った旅行でした.この旅行では全体で,700 miles(1120 km)くらい走りました.
2回目は,秋に紅葉を見る旅行に行ってきました.Boston - Mt.Washinghton(NH) - Estrie(Canada) - Montreal(Canada) - Stowe(VT) -Boston の行程でした.ニュー・ハンプシャー州の Mt.Washinghton へは,ボストンから車で3時間で行けます.と言っても120km/hで休憩なしに3時間ですから,とても遠いです.ここの紅葉はアメリカでも有名なようで,西海岸のカリフォルニアからもツーリストが多く来ていました.噂通り紅葉は見事でした.山の高いところは少し遅く,すでに葉が散っていましたが,麓は紅葉を十分楽しめました.真赤,黄色,オレンジ,緑,褐色のコントラストが非常に綺麗でした.日本より寒暖の差が激しいですので,葉が真っ赤になるそうです.その通り本当に綺麗でした.しかし,それにしても,ここの紅葉は広大です.車で行けども行けども紅葉です.清流と山,湖,これらのまわりの木々がすべて紅葉しており,まるで写真のような場所がそこらじゅうにありました.本当にこんなに膨大な地域で紅葉が楽しめるなんて,本当に日本では考えられません.京都の嵐山が何百個もあるといった感じでした.地元の人に聞くと,世界で紅葉が見れるのは,北米とチリ,そして,日本だけらしいです.日本人としてちょっとうれしかったですが,この広さにはかなわないなぁと言うところでしょうか.それにしても,本当に本当に広大でした.途中,道路を走行中,ムースが道路を横切ろうとしていて脇に立っていました.写真のシャッターチャンスは逃しましたが,面白い体験でした.道路には,ムースの絵と「Next ○ miles, Moose Crossing」と書いてある標識が多くあるのですが,本当にムースが道路を渡るのですね.夜や朝になると移動するらしいです.Canada の Montreal へは Estrie と言うカントリーな地域に1泊した後,向かいました.Estrie は牧畜,農産物が豊富な場所で,ケベックの台所と言われるところです.まわり一面が牧草地で,湖と山と牧草のコントラストがすばらしかったです.芸術家が多く住んでいるそうで,泊ったB&Bがたまたま,オーナー(女性)がプロの絵描きでした.部屋には彼女の絵やカードなどが一杯ありました.宿泊客が私たちを入れて2組しかなく,しかも,私たち以外の夫婦も絵描きで,しかも,オーナーの友だちでしたので,昼過ぎまで彼らとの会話と食事でゆったりと過ごしました.途中,雪なども降ってきて,本当にいい雰囲気でした.それにしても,まわりのカントリーの風景とゆったりとした会話が良く会うと言った感じの場所です.もしまた行けるのなら,是非スケッチブックを持っていきたいと思いました.また,Estrie では,Saint-Benoit-du-lac Abbey という修道院に行き,グレゴリオ聖歌を聞いてきました.修道士が朝と夕方にグレゴリオ聖歌を歌います.綺麗な御堂の中で聞く歌はどことなく幻想的でした.この Saint-Benoit-du-lac Abbey は田園が広がるカントリーの真ん中に何故か巨大な修道院が立っています.その理由は良く知りませんが....近くには,メンフレマゴク湖と Mt Owl's Head という綺麗な山があり,雰囲気は抜群です.本当はこの修道院に宿泊したかった(そのような施設もある)のですが,予約が一杯で不可能でした.仕方なく,修道院が紹介してくれた上記のB&Bに泊ったわけです.でも,結局,B&Bは良かったのですので,それなりに満足しました.
その後,長い道を走り(3時間くらいでしょうか),Trois-Rivieres (Cap de la Madeleine) の Sanctuaire Notre-Dame-de-Cap という奇跡の教会を見てきました.新しい教会の建設に関して教会の土台の石を Trois 川の対岸から運ぶときに,その年に限って川の氷が3月まで解けず,神父がその感謝のために古い教会を取り壊さずに残しておくとお祈りした後,急に氷が解けたと言うものです.また,2回目の奇跡はマリア像が信者のために泣くというものです.まぁ,奇跡の真偽はともかく,北米でも有名な教会です.その新旧の2つの教会のミサに行ってきました.それにしても,この教会がある街は面白いです.まわりの町並みは全く観光地ではなくて,どちらかと言えば,どことなく少しすさんだ感じのする住宅街で,その真ん中に大きな教会がドンと建っています.そのアンバランスが非常に面白かったです.その後,Montreal に行きました.Basilique Notre-Dame 大聖堂と RueSt-Paul (サン・ポール通り)の旧市街,Mont-Royal からのすばらしい景色,地下街でのショッピング,中華街での食事を楽しんできました.Montreal のお決まりのコースらしいです.
しかし,それにしても,まわりはフランス語だらけですので,カナダという感じが全然しません.店に入ってもフランス語,食事をするのもフランス語,ドアを開けても「ボンジュール」,カナダではなくてフランスに行ったような錯覚に陥りました.面白い街ですね.Montreal は....しかし,そのフランス語のために,本当に道によく迷いました.運転中,一瞬では標識のフランス語は読めませんし,道路幅がアメリカに比べて狭いですので車にも注意しなくてはいけないし,カナダのドライバーはアメリカよりも危険な運転をしますので急に車線変更などをしたりして,本当に疲れました.
Montreal の後,バーモント州の Stowe に行きました.こちらは可愛いお店や紅葉で有名な場所のようです.ここでは,ショッピングを楽しみました.もう,ここの紅葉は少し遅かったようですが,メインストリートではなく(住人が住んでいる舗装道路ではない)地道を少し行ったところはまだ綺麗で,よかったです.また,ここには,映画やミュージカルで有名な「サウンドミュージック」の Trapp Family がアメリカに亡命した後,住んでいた場所をホテルとして改築した Lodge があります.山全体がホテルといった感じの場所です.オーストリア風のホテルで,ここの高台からの眺めは抜群です.実は,驚いたことに,Trapp 家の子供達(おじいさん、おばあさんですが)はまだ生きている人がいて(実はマリアさんが亡くなったのも10年ちょっと前とのことです),Stowe のこの Lodge 近辺に住んでいるそうです.私たちが行ったときには,あいにく天候に恵まれず,雨と曇りでしたので,Lodge からの風景がもう一つでしたが,「小さなオーストリア」に満足しました.その後,ボストンに帰ってきました.第2回目の旅行は全体で,1400 miles(2240 km)くらい走りました.
今回はこれくらいです.また,ご報告致します.





えッ!! 懸賞の自動車が当たった?! (12/24)[ TOP ]
こちらボストンではクリスマスが近づくにつれて,家々がクリスマスツリーを飾りはじめました.家のまわりも電球やリースの装飾でとてもきれいです.家の人たちは日曜日にもなると,それがまるで自分の仕事かのように一生懸命です.(^^;)ですが,まだ雪は降っていません.平年より7度(華氏)も高いそうです.でも,ボストンの人達は「1月になると必ず,雪が降るから安心しない」と言います.別に,雪を望んでいるのではないんだけど.........
研究面では,先月までのアイディアに基づき,いま JAVA でプログラム作成を行っています.JAVA はデータ・オリエンティドなプログラミング言語で,今回,はじめて使いましたが,非常に気に入っています.全体のプログラムがすっきりと作れますし,OS 依存性もないし.とても良いです.全体のプログラムの内で約8割ほどができました.来年の早々にはインタフェースも含めて全体を完成したいと思っています.その後,実験を行う予定です.実験もうまく行くと良いのですが.....
さて,今回は手前味噌ですが家内(妻)に関する話を少ししたいと思います.アメリカでは,夫婦共働きは当然のようで(こう書くと,日本では働くこと自体が目的となりますが,そうではなくて),夫が仕事に励むと同様に妻も(自分の気に入った)仕事をする権利があると考えているようです.ですので,うちの家内も良く「あなたは日本でどんな仕事が専門でしたか?」と聞かれます.そのたびごとに「日本では妻が必ず働くとは限らない」とか「日米の家庭の違いを説明すると.....」と言うような話になります.最近ではいちいち説明するのが面倒くさいので,家内は「私の仕事は卓球だ」と答えているようです.相手は「えっ」と言う顔をしますが,すぐに興味深そうに私たちの話を聞いてくれます.実は,家内の趣味は卓球なのです.私が言うのもおかしいですが,結構実力があります(強いです).当然,私などは相手にもなりません.日本にいるときには市民卓球クラブに参加し,市民大会等にも良く出ていました.それくらい好きですので,家内の希望でアメリカでも卓球クラブを探し,入会しています.それも,由緒ある(らしい)マサチューセッツ工科大学卓球クラブ(MIT-TTC)です.毎週,数回練習に行っています.
アメリカ卓球連盟(http://www.usatt.org/)のシステムは非常に面白く,全国のクラブが卓球連盟の配下にあり,選手がどんな地方レベルの試合でも参加すると,アメリカ卓球連盟のメンバーとして登録され,その試合結果によりアメリカ全土のランキング(Rating)がその人に与えられます.アメリカで1番強い人からメンバーの中で最も弱い人まで全てがランキングされるわけです.テニスの世界ランキングと同じですね.これって面白いですよね.試合に出る度に試合結果が自分のランキングに反映されるわけですから,選手にとってはやりがいが出ます.家内も春頃の数試合に出て優勝に近い成績を納めることができたので,それ相当のランキングをもらったようです.ただ,本人曰く,最近は不調(スランプ)とかでランキングが下がってきたそうですが(^^;)...また,それぞれの選手のランキング(Rating)は上記の USA-TTC のホームページで調べることもできます.ちなみに,Rating は数が大きい方が実力が高いことを示しています.家内が春先に出場したマサチューセッツ州の試合で良い成績をとったときには,立派なトロフィーまでも貰い本人は喜んでいました.ただ,アメリカでは地方レベルの試合では開会式や閉会式はありません.どのようにトロフィーをもらうのかと思っていたら,家内が大会事務ディスクに成績を申告すると,係りの人が奥からゴソゴソとトロフィーを取り出してきて「ハイ」と手渡されていました.驚くとともにちょっと残念だったようです.でも,さすが,アメリカ...とても,とても,フランクですね.
アメリカの卓球の実力は世界レベルで言えば,それほど強くないようですが,それでも,ここボストンにはアメリカでも上位の選手が多くいて,家内は彼らと練習や試合をしているようで,大変楽しんでいます.実は,先日も家内の「お供で」,アメリカ卓球連盟が開催した北米チーム選手権大会に参加するため,Baltimore まで行ってきました.私は単なる付き添いですが.この試合はグループ戦だけのトーナメントですが,年間の3大大会の一つに上げられており,4日間に渡り 200 台以上の卓球台を使い,500 名以上の参加者があったようです.試合の様子は新聞にも掲載され,オリンピック候補者決定の参考試合でもあったようです.家内たちはこの試合のため,MIT-TTC で急遽,グループを構成し,日本人,フランス人,ハイチ人,オランダ人の混成チームで参加しました.試合結果はまあまあでしたが,それなりに勝敗を楽しんだようです.この試合には,アメリカ No.1 と言われる選手も来ていて,アメリカの卓球人口のすそ野は狭いとは言え,そのオープン性には驚きました.この試合以外にも,年間には,(テニスの試合の USA OPEN ならぬ),卓球の USA OPEN もあるそうで,オープン(OPEN)の名前の通り,アメリカ人でなくてもアメリカ卓球連盟のメンバーであれば,参加できるそうです.今年は参加できませんでしたが,来年は日本から開催地のフロリダに一人でも行くと,家内は息巻いています.ずいぶんのめり込んでいます...どうなりますことか (^^;)
それ以外に今回も面白い体験をしました.ちょっと,その話をしたいと思います.実は,6月頃でしたでしょうか.市内のモール(ショッピングセンター)に行ったとき,新車が展示してありました.車の前には,簡単なアンケートが置いてあって,応募者の中から1名にその新車が当りますと書いてありました.もちろん無料ですし,応募して損はありませんので,私の住所や電話番号などを書いて投函ボックスに入れておきました.11月になって,その事などはすっかり忘れていました.そうすると,突然,手紙が届き,「あなたに新車1台か $50,000 の現金が当りました!!」と書いてあるではないですか.金額は日本円に直すと500万円以上です.びっくりしました.それからはパニック寸前です.まずはそれが悪戯か真実かを疑いました.次に,どこかの通販の手紙かとも思いました.しかし,手紙には,私が6月に投函ボックスに投函した直筆のアンケート用紙が入ってあるではないですか,嘘ではないようです.手紙には,当選した次のステップとして,72時間以内に賞金の受け渡しのために電話をするように書いてあります.早速電話をしてみました.電話口では「Congratulation !!」と言っています.電話の向う側の雑音を聞いてみると,どうやら会社のようですし,数人の事務作業の様子もうかがえます.また,相手の処理も事務的ですので,どうも嘘の様子はありません.ますます,迷いました.どうしたものかと色々考えました.もし賞金の受け渡しに行ったときに「ネズミ講」や「もっと惨殺な事件に巻き込まれるもの」だったらどうしようか,生命保険の事件かも知れない.アメリカのことです.そんな事件がないとは言えません.しかし,逆に,真実だったとしたら.....これこそ嬉しい限りで,お金の使い方に困るほどです.賞金の受け渡しに行かないなんてとうていできません.しかし,真実だろうか....本当に本当に考えました.もし真実だとしても,全部の賞金を自分達だけで一人占めにしていいのだろうか.それも後ろめたい気がします.賞金の一部を貧しい人達に寄付するべきではないか.その方が良いに決まっている.でも,アメリカで寄付の方法も知らない.そんな色々なことを考えました.でも,まず,これが真実かどうか知りたい.そのためには,日本語がわかる信用できるアメリカ人に再度電話をかけてもらい,その真偽を確かめるべきだ.そして真実だったら,その人を通じて寄付のルートも探したい.夫婦で1時間ほど考えたあげく,そのように結論づけました.結局,家内のアイディアもあって(こう言うときは女性の方が良い考えをもっていますね),いま Park StreetChurch で英語のレッスンを受けていて懇意にして貰っている先生(アメリカ人だが日本語が話せる)に相談してみよう.彼女は教会関係の人間だから信用できるし,寄付も彼女から Park Street Church を通じてすれば問題ない.これは良い考えだと言うことになりました.早速,翌日行きました.彼女に上記のことを説明すると,彼女も「You're kidding?!」と言って,びっくりしていました.「Congratulation !!」と言われ「これは誰にも言わないから私を信用して」とも言われ,寄付の件はもちろん大賛成だと賛同してくれました.私はすっかりその気分です.まずは,彼女に電話を再度かけてもらってその真意を確かめようと言うことになりました.彼女に電話をかけてもらいました.その結果,確かに当っているようです.しかし,ちょっと状況が違い,電話口では「新車1台か $50,000 の現金,もしくは,少なくとも,$500 の現金か $700 相当の旅行クーポン券が当った」と言っているようです.少し話が違ってきました.しかも,これらの賞金を受け取るためには,車でボストンから2時間ほどのリゾートホテルに行き,そこで,何かの説明(そのリゾートホテルの説明)を1時間ほど聞かなくてはいけないと言うことでした.よく意味が分かりませんでした.しかし,無理やり何かに契約させたり買わせたりするようなことは絶対しないと言っているようです.それも,少なくとも上記のどれかは当るので嘘ではないと言っているようです.教会の彼女曰く,これはどうやら,危険な事件に巻き込まれるものではないが,あなたが2時間もかけて行くかどうかは,車相当の賞金が当るかどうかもわからないのでちょっと疑問だと言われました.でも,当るかも知れません....よくよく考えて,丁度,その週に休日があり時間もあることですし,行くことにしました.その旨を電話の相手に言いスケジュールを確認してもらいました.行く前日もそのリゾートホテルから翌日のスケジュールの確認などがありました.向うは本当にこちらの意向を聞いています.こうなったら,行くだけは行ってみようと思いました.翌日,2時間かけてそのホテルに行く道中,「どんなホテルだどうか?」,「森の中に1軒だけあるような寂しいホテルではないだろうか?」,「本当に何か買わされるような危険なことになりはしないだろうか?」,「危険なことになりそうならば,どんなに賞金が当ろうとも逃げて帰ってこよう」等,色々考えました.人間も結局動物並ですね.自分の前に人参がぶら下がっている馬のようなものです.早く早くと車を走らせました.リゾートホテルにたどり着くと結構多くの観光客がいました.普通のホテルです.とりあえず,これだけの多くの人がいるならば,危険なことになりそうにはありません.まずは安心しました.しかし同時に「何故こんな多くの人がいるのだろうか」と思いました.その心配(疑問)が的中しました.実は,皆,賞金の当選者だったのです.私と同じような当選者の手紙を持っていました.拍子が抜けると同時に,がっかりしてしまいました....(^^;) 後で聞いた話ですが,今日だけで 100 人くらいいたそうです.実は,このリゾートホテルは会員制で,賞金の手紙はこの会員募集のための方法だったのです.説明の予約をして待っていると,係員が来てホテル会員の特典の説明をし始めました.彼は私たちをモデルルームに連れて行ったり,一般の滞在型ホテルとの違いや費用の節約など,1時間ほどくどくどと説明していました.もちろん説明を聞く気にもなれません.最後には,会員にならないかと聞いてきました.とんでもないというと,2人目の営業員(上司)も来て,今日契約すれば,特別価格で年間 $7,500 だと言っていました.今まで想像していた話とあまりにもかけ離れていたので,自分ながら呆れてものも言えませんでした.自分がとても恥ずかしかったです.笑うしかありませんね.もちろん,契約するはずもありません.丁寧に断りました.彼は「No Problems」と言って事務的に処理をしていました.肝心の賞金ですが,説明の後に抽選がありました.しかし,そんなもの当るはずがありません.安心すると同時にがっかりした複雑な気分でした.賞金の使い方までも思案していた自分がちょっと情けなかったです.早々に退散しました.
後で聞くと,これは Marketing Strategy と言うそうです.市場利益をあげるための宣伝戦略(転んでもただで起きない宣伝戦略)でしょうか.さすがアメリカですね.ただでは儲けさせてくれません.世の中そんなに甘くありませんね.でも,面白い経験でした.日本でもときどき,車や旅行の目録を陳列(展示)してあり,「誰かに当選します!!」と書いてあるものがあります.でも,その裏で,それが何かの会社の宣伝用客集めに直結してあるものがあるでしょうか? アメリカではこのような宣伝はたびたびあるそうです.このリゾートホテルに来ていたアメリカ人はそんなことは十分知っていて,それでも来ているのでしょうね.知らなかったのは私たちだけだったかも知れません.自分たちも知らずのうちに宣伝に使われていた.そんなことを十分感じた経験でした.
また,面白いことがあればレポートを送ります.それでは,楽しいクリスマスと良いお年をお迎え下さい.来年もよろしくお願い申し上げます.





小ネタ集です (2/12)[ TOP ]
あと,2ヶ月ほどで帰国です.留学されていた先生方の話を日本で聞く機会がありましたが,やはり1年は早いものですね.皆さんの言われる意味が良くわかりました.
昨年の末はクリスマスと2000年の年明けイベントで,あっと言う間に時間が過ぎてしまいました.クリスマスの時期は皆が日曜日にもなると,それがまるで自分の仕事かのように一生懸命,家々のクリスマスツリーや電球を飾りたてていました.良い仕事ですよね.....大人も子供も一緒になって楽しんでいるようでした.(^^;) その甲斐(?!)あってか,夜にもなると,家々の電球や装飾がとても綺麗だったです.留学された先生方の話の通りでした.道々がずっと,ずっと,ディズニーランドの雰囲気でした.それと,年明けイベントも面白かったです.私たちはボストンポップスを聞きに行きましたが,会場の皆と新年のカウントダウンをしました.後は音楽とダンス三昧でした.なかなか面白かったですね.
1月の末にボストンで豪雪が降りました.例のニューヨークの豪雪です.朝の 2時間ですっかり雪が積もりました.チャールズリバーも凍り,表面は降り積もる雪で一面真っ白でした.昨年からその時まで雪は少しだけしか降らず,たいしたことはないと思っていましたが,やはり北国ですね.その寒い中を,人々は手袋,帽子とマスクの上からフードをかぶり,目だけギョロギョロさせています.一見して強盗なのか普通の人なのかがわかりません.もっとも,こんな寒い日に外にいる強盗は凍死してしまいますけどね.市内では,真っ白な道を車がスパイクタイヤやチェーンなども付けず平気でブンブンと走っています.どうやら,市内での装着は規制されているそうですが,中には,あきらかに走るのではなく滑っている車もあり,雪の中から抜け出せない車は周りの通勤途中の人に助けてもらいながら抜け出していました.そこまでして,車で来ることはないのですけどね...もちろん,小中高校と休校で,大学も休校のようです.朝のテレビで一斉に休校情報を流していました.面白いことに,我々が通っている市が開催する英語学校も休校情報を流していました.
昨日,マサチューセッツ工科大学(MIT)で東京大学フォーラムというのが行われ,参加してきました.世界であまり認知されていない日本の基礎研究を世界に知らしめるために、特に,東京大学の基礎研究をアメリカの研究者に認知してもらうために,学術振興会の肝いりで,東京大学の数名の著名な先生をわざわざ MIT まで連れてきて講演会を開催しました.特定の分野の研究を発表する場ではなく,その大学の研究を紹介する試みです.試みとしては面白いですよね.大学の宣伝効果にはうってつけですから.なんでも,パンフレットを読むと,京都大学には多くのアメリカ人が知っている湯川秀樹を筆頭にノーベル賞受賞者が多くいるが,東京大学はおらず,東京大学にも優秀な研究者が多くいることを海外の人に知らせるのが目的で,蓮實学長の提案で開催されたようです.内容的には結構面白かったです.生物学や医学,天文物理,建築学,芸術学と Science を中心に講師を集めていました.情報は Science から言えば応用ですから,カヤの外です.MIT の利根川進や Prof.Minsky を司会者として用意したり,建築家の安藤忠雄も講演者として来ていました.もっとも,利根川進は「私は東大の出身ではありません」と言って,笑わせていました.ちなみに,彼は私と同じ Brookline 市に住んでいるそうです.一度,顔を見たいと思っていましたが,初めて見ました....
さて,今回は研究の方でプログラムの制作に時間が取られていますので,ちょっと息抜きして,生活面でのちょっとした疑問を書き留めた短い報告文を一杯送ることにしました.

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「何故か袖のすそがいつも濡れる」
どうしてか? 実は洗面台が高いのです.バスルーム(洗面室)に行っても,大学のラウンジ室でも,家庭の洗面所の洗面台も,どれもアメリカ人の身長に合わせているので,台の高さが高いのです.それで,手を洗うときいつも袖が濡れてしまうのです.最初は何故かわかりませんでした (^^;)もっとも,男子用トイレの便器も高いという噂もあります.こちらの方が深刻かも....

「アメリカの犬は吠えない?」
アメリカでは,アパートでももちろんのこと,レストラン,モール,地下鉄でも犬と一緒にいる人が多くいます.もちろん,犬同士が出会うこともしばしばです.でも,何故かあまり吠えません.ほとんど犬が唸り声を出している場面に会ったことはありません.犬も人間同様,幼いときからモラルをしっかり教え込まれているそうです.一方では,逆に日本の犬はいつもストレスを感じているから吠えるのだという人もいます.人間と一緒と言っていました.どっちが本当なのでしょうか.

「小鳥がいつも身近」
こちらでは,自然がまわりに一杯あって,いつも自然と一緒にいるような感じです.おかしなことに,小鳥や雀は私たち人間をあまり怖がりません.日本では,雀の近くに行くとすぐに彼らは逃げますが,その距離とアメリカでのその距離とを比べると,アメリカの方が絶対に短いです.小鳥や雀を追い遣る人が少ないのか,日本はあまりにも人間が多くいるのか,あるいは,鳥たちがあまり多くいて人間を知らないのか,それは良くわかりませんが,日本にいるときよりももっと身近に,しかも市内でも,バードウォッチングができます.30cmほどの距離から雀を観察したことがありますか?

「長距離電話会社は安い」
アメリカでは長距離電話がとても安いです.1分あたり15セントと言うのが平均です.中には,最初の20分間は1分あたり9セントと言うのもあります.国際電話は長距離電話と同料金ですので,実は,アメリカから大阪に電話をかけた場合,大阪から東京に国内電話をかけた料金よりも安くなる場合があります.日本にいる友人や会社に「いま,海外からなんですが...」と言うと,相手が急に早口になったり,慌てて事務処理をやってもらえますが,実は国際電話はそう高くありません.まぁ,こちらは助かりますけどね.余談として,インターネット・プロバイダーと契約して電子メールアドレスを持っているのですが,日本のプロバイダーと契約して国際電話をかける方が安くなる場合もあります.ちょっと変ですね...?!

「旅行会社はどのように儲ているか?」
普通,旅行会社で航空券のチケットを買うと,格安チケットの場合,出発前の2週間ほどまで実際の発券をしません.何故かと言えば,2週間ほど前にチケットの価格が底値になるからだそうです.ですが,顧客の方は申し込み時に購入時の金額をすでに支払っています.その差額はどうなるか? 実は,多くの会社はその差額分を旅行会社の収入としているそうです.アメリカでは自分の会社の特徴の一つとして,その差額分を返してくれる旅行会社が多くあります.

「道路の信号は無視するもの」
アメリカでは信号の間隔は非常に短いです.青だからと言って渡りはじめるとすぐに点滅し,赤に変ります.ですので,こちらの人は始めから信号など守っていません.平気で赤でも渡ります.信号などあってないようなものです.また,横断歩道以外のところでも平気で渡ります.では車はどうするか? ちゃんと止ってくれます.あまりにも道路を渡る人が多いので,市内では車はゆっくりしか走れません.高速だとすぐに止ることはできませんからね.その甲斐があって(?!)か,市内の交通事故は思ったほどないそうです.ちゃんと信号を守っているのは観光客の日本人くらいだと誰かが言っていましたが,その通りです.すぐに日本人だとわかります.でも,こんな短くて危ない信号,お年よりの人は大変です.もっとも,車の運転者の中にも多くのお年よりはいます.どちらが危ないのでしょうか?

「道路工事のガードマンの言うことは忠実に守ろう」
実はガードマンではありません.れっきとした警察官です.マサチューセッツ州では,道路工事をする際には警察官が立ち会い,交通整理や危険防止を行うことになっています.もし工事現場が交差点であって信号とガードマン(警察官)の指示が異なる場合には,もちろん警察官の指示に従う必要があります.その際には,スピード,駐車場所など交通ルールも正しく守りましょう.12月の末には何故か道路工事が多いですので,自然とアメリカの交通安全週間になるという噂も......

「霊柩車だと言ってばかにしてはいけない」
いままでに数回,霊柩車(?!)を見たことがあります.もちろん,こちらでは日本のような色々な飾りものがある霊柩車ではありません.亡くなった人の大きな写真を立てて,そのあと数台の車が連なります.時には十数台になることもあります.面白いのはその先頭の車をパトカーが先導します.また,最後尾には別のパトカーがついています.このパトカーとパトカーの間の葬式の車を,自分の車で横切ってはいけないそうです.交通規則にもそう書いてあります.これらの葬式の車は止まることがない(止まってはいけないらしい ?!)ので,交通信号は無視されます.赤であろうと何であろうとも進みます.どう言う文化なのでしょうね..

「スクールバスには気をつけよう」
こちらの小学校・中学校では,生徒の送り迎えに親は必ず学校に行きます.小中学生が一人で家に帰ってくることはありません.もしそんなことをしたら,親が法律上罰せられると聞いたこともあります.そのため,親が迎えに来られない生徒のために学校には十数台のスクールバスがあります.登校時や帰宅時などになると,学校のまわりは黄色いバスが何十台もズラッと並びます.これらのスクールバスが各校区に行くわけですが,その時が問題です.狭い街で前方を走っていたスクールバスが止りました.そのバスを追い越しても良いでしょうか? 答えはノーです.ちゃんと何十分でもバスの後に停止し,止っていなくてはいけません.では,反対側の車線はどうでしょうか? これも対向車線が分離されていない狭い道路ならば,通過してはいけません.停止してずっと待っていなくてはいけません.生徒が道路を横断するからでしょうね.もっとも,対向車線の車が通過しようとしても,スクールバスから遮断機のような長い棒が出てきて,反対車線を遮断してしまいます.最初の時は驚きましたね.

「駐車違反と一般駐車場,どちらが得?!」
アメリカでは道路上に白い区域が書かれた駐車場があります.近くに料金機があるやつです.ボストン市内では,平日の夕方6時以降から翌朝の早朝6時までと日曜日は無料で,それ以外は料金を払います.場所によっては値段が違いますが,市内では 15 分で $25 です.もしこの料金を払わなかったらどうなるでしょうか? 実は警察の料金係が絶え間なく料金機をチェックしています.そして時間を過ぎている車を見つけると赤い違反切符を車に張り付けます.駐車違反は $25 らしいです.ですが,面白いことにマサチューセッツ州では駐車違反は罰金刑だけで免許の得点は引かれません.ですので,何度駐車違反をしても違反代金だけ払えばそれですみます.考えようによっては,その駐車違反代金は駐車場料金と考えることもできますね.ボストンにはボストンレッドソックスという野球チームがありますが,試合があるときにはその球場まわりは車で一杯になります.もちろん,赤い駐車違反切符(駐車料金チケット ?!)も多く見られます.みなさん,安い駐車料金と考えているのでしょうね....でも,道路駐車場以外の一般駐車場もさるもの,駐車料金はイベント特別料金の時は,$20 です.ちょっと遠い一般駐車場だと考えますね,どちらが得か...?!

「駐車場は Not in Service を狙うべき?!」
その路上の駐車場,ときどき,前の人が支払った駐車料金に余分時間があるときがあります.つまり,例えば,1時間分だけ払ってその人が 35 分後に車を移動したとすると,まだ,25 分は無料で止めておけるわけです.その時などは得した気分になりますね.ですが,一般の人は,料金機が壊れている場所(Not in Service)を特に狙って止めているようです.結構ちゃっかりしていますね.その時には,警察の料金係はどう対応するのでしょうかね.あるとき,その壊れている料金機に,"does not take my money" と紙に書いて張り付けている人を見ました.残念ながら,料金係が違反切符を切ったかどうかはわかりません.是非,次回試してみましょう.

「スーパーマーケットの店員は信用できない」
日米の違いはありますが,スーパーマーケットはほとんど日本と同じシステムです.若干違うのは,銀行カードで支払いができる(日本も近々できるようですね),レシートの裏に割引券がある,新聞の広告にも割引券が付いている 等でしょうか.しかし,最も違うのは店員の態度とミスの多さでしょう.彼らの中には仕事をするのが嫌で嫌で仕方がないと言った人が多くいます.アメリカでは買った品物を店員が袋に入れてくれます.客は原則として自分で品物を袋には入れません.全部店員がやってくれますのでとても便利です.でも,働くのが嫌な店員は入れるのもめちゃくちゃで注意して見ていないとイチゴの上に缶詰を入れたりします.本当にいい加減です.それと,料金の打ち方もいい加減極まりないものです.皆,支払いの後でレシートを必ず見ています.いつもサービスコーナーは払い戻しの人で一杯です.そんなに間違うのならきちんと教育をすれば良いと思うのですけどね.

「バスの料金はいい加減」
ときどき,バスを利用することがあります.料金はどこまで言っても均一で 60セントです.でも困ったことにこの 60セントの小銭がないときがあります.ではその時はどうするか? 一度,1ドル紙幣しかないときにバスに乗ったときがあります.運転者は1ドルを入れろと言っていました.もちろん,お釣りなどくれません.彼に文句を言うと,帰りのバスの運転手に 20セントだけ払えと言っていました.本当にいい加減です....帰りはバスを使わなかったので真意はわかりませんが,友人に聞くと,もし帰りのバスでそう言ったらバスの運転手はそれはそれで納得しただろうといっていました.そうでしょうね.アメリカのことですから...

今回は以上です.